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Math.M
大学生.工学チックな数学,実用的な数学を日々学ぶ

…つもりが,全然実用的でない方向に興味が向いている気がします.
まあそんな日があってもいいよね.
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2016年03月24日

福島県立医科大入試問題の考察

今年の福島県立医科大で,以下のような問題が出題されました.

(中略)$x=\sin(x+a)$の解を$f(a)$で表わす.(中略)
(5)導関数の定義と$\dfrac{\sin x}{x}=1$を利用することにより,関数$f(x)$が$0\lt x\lt2\pi$において微分可能であることを示せ.
ただし,$f(x)$は$0\le x\le 2\pi$で連続であると仮定してよい.

つまり,$y=\sin(x+y)$を満たすような$y=f(x)$を考えよう,ということです.
ただし,$y=t$および$y=\sin(x+t)$のグラフを書いてみればわかる通り,
$x$が定まれば,$y=\sin(x+y)$をみたす$y$の値も定まるため,$x$は一価関数です.

この関数$y=f(x)$のグラフを書くにはどうすればいいでしょう.

まず,微分方程式に持ち込むとすれば,$y=\sin(x+y)$の両辺を$x$で微分して
\[
\dfrac{dy}{dx}=\left(1+\dfrac{dy}{dx}\right)\cos(x+y)
\]より
\[
\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\cos(x+y)}{1-\cos(x+y)}
\]となります.

この微分方程式を求積法で解くことは多分できないので,数値計算の必要がありそうですね.
ちなみに,入試の(5)は,微分の定義にならって解答を書くべきですね.
$f(x)=\sin(x+f(x))$より
\[
\lim_{h\to 0}\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}=\lim_{h\to 0}\dfrac{\sin(x+h+f(x+h))-\sin(x+f(x))}{h}
\]\[
=\lim_{h\to 0}\dfrac{2}{h}\cos\dfrac{2x+h+f(x+h)+f(x)}{2}\sin\dfrac{h+f(x+h)-f(x)}{2}
\]で,$\cos$の項はどうせ$\cos(x+f(x))$へと収束するので関係なし.

問題は不定形となる$\dfrac2h\sin\dfrac{h+f(x+h)-f(x)}{2}$ですが,これも
\begin{align*}
\lim_{h\to 0}&\dfrac2h\sin\dfrac{h+f(x+h)-f(x)}{2}\\
&=\lim_{h\to 0}\dfrac{2(h+f(x+h)-f(x))}{h}\cdot\dfrac{\sin\dfrac{h+f(x+h)-f(x)}{2}}{h+f(x+h)-f(x)}\\
&=\lim_{h\to 0}2\left(1+\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}\right)\cdot\dfrac12\\
&=1+f'(x)
\end{align*}となり,結局
\[
\lim_{h\to 0}\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}=(1+f'(x))\cos(x+f(x))
\]から$f'(x)$を$\cos(x+f(x))$で表すことができ,微分可能性が示されるという寸法.最後に出てきた式は,上で2行で示した
\[
\dfrac{dy}{dx}=\left(1+\dfrac{dy}{dx}\right)\cos(x+y)
\]と同一の式です.

ところで,三角関数の和積公式がパッと出てきませんでした.
受験時代は(暗記はしていなかったにしろ)これぐらいならすぐ変換できたものです.
勘が鈍るというのは怖いですね.



Posted by Math.M at 16:01│Comments(0)解析
 
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